オープンシステム(CM分離発注)
■CM分離発注方式
伝統的な多重下請け構造の中で不透明になりがちな建築コスト、さらに建築主不在で業界論理が先行する様々な習慣。生涯一度の高価な買物にも関わらず、建て主の思いはなかなか反映されない。それに対して、専門業者の見積もりを比較検討したり、直に発注したり・・・。建築には、いろんな方法があっていいのです。建築会社にすべて任せるのではなく、建て主の思いを的確に反映させるにはどのような方法が最適か。
こういう考え方で建て主と専門家が一緒に進める建築を『CM分離発注方式』といいます。オープンシステムは日本で最も代表的なCM分離発注方式です。

建築主が元請(ハウスメーカーや工務店)1社に発注する場合、手間は省けますが、元請と下請けとの経費や利益を負担しなければならなく、どうしても材料費や労務費を水増しする形で見積書を作らなければなりません。それでは価格(見積書)の仕組みがわかりにくく、元請からの一方的な拙論に過ぎない不透明なものであるのではないでしょうか。
一方、オープンシステムによる分離発注とは建築主が工事を一社に一括請負で発注せず、建材や専門工事を施主が直接に各業者と契約をかわし、工事毎に支払いをする方法です。手間はかかりますが、納得のいく家づくりができます。いわゆる元請業者が介在しない為、その経費が見積りに反映してこない分、経費コストも下るわけです。しかしながら、建築主が自らの仕事をこなしながら家づくりのプロジクトを総合的にマネージメントすることは不可能に近
いのが現実です。
そこで、デザインはもちろんのこと、予算管理、品質管理、工程管理などの知識と経験を持つコンストラクションマネージャー(CMr)が必要とされます。オープンシステム(CM分離発注)を委託する場合、これらの能力を兼ね備えた者でなければならないと考えています。

- 建築主による直営方式を豊富な専門知識を持った建築家がサポートします。建築主による直営方式での欠点が建築家の存在により解消されます。
- 建築主は建築家と業務委託契約を結び、設計・工事監理を建築家に委託します。工事は建築主が各工事専門業者に対し、工事を発注します。
■オープンシステムの利点・欠点
利点
1. 建築主による直営方式の利点に加え、第三者である建築家(建築士)の工事監理や以下のようなサポートがあります。
【工事に関わる人・もの・時間・お金・情報・事態・リスク等の開示と調整(マネジメント)】
■具体例
- 建設資金計画・支払い計画についてのアドバイス
- 専門工事業者や資材の調達先など、 見積依頼先についてのアドバイス
- 予算に収まるかの確認と収まらない場合の調整協議
- 契約に関する連絡・書類作成と立会い
- 総合的工程計画と調整
- 工事出来高の査定と支払いについてのアドバイス
- 工事の各段階での検査と是正措置の指示・確認・報告
- 専門性の高い知識・技術・情報によるアドバイス
2. 現場からフィードバックされたディテール・コスト等が設計に活かせます。
3. 専門工事会社のやる気や能力を引き出すことができます。
欠点
1. 工事請負契約工事費の支払い等、複数の専門工事会社と付き合うのが面倒に感じるかもしれません。
2. 責任の所在が厳密には不明確になりやすい。これに対しては、建築家(建築士)のマネジメント能力やリスク調整費(コンティンジェンシ ー)を予算化することで対処できます。
3. 専門工事会社は小規模な会社や個人業が多く、請負責任の履行能力が疑問視されがちです。
こちらは、オープンシステム建物登録制度(補償制度)で対処できます。
■ お客様から、オープンシステムで建築したい理由を教えてもらいました。
- 何気に手にしたOSの小冊子を読んで、分離発注が漠然と合理的だと思ったこと。
- 欠陥住宅が問題となった時期に建築士の方に施工管理を含めてお願いできればと思ったこと。
- ハウスメーカーの規格品に自分を合わせたくないこと。
- ハウスメーカーの広告宣伝費を肩代わりさせられるのはどうかと思ったこと。
- ハウスメーカーや工務店の言い値でいいのかと思ったこと。
- 一括請負工事に伴う工事中断のリスクの軽減のこと。
- ハウスメーカーの営業の方とのやり取りではどうしても細かい詰めができないと思ったこと。(技術者と営業とのギャップ)
- 建築の専門家と直接意見を交わしてみたいこと。
- 分離発注によるコスト低減のこと。
- 分離発注と建築士さんによる設計・監理・施工管理がセットになっていること。
- 個々の業者さんとの個別契約に伴う効果のこと。
- 建てたい家のイメージが漠然としたものしかなくその点を含めてサポートしてもらいたこと。
- 支払いが工事出来高払いであり、先払い、過払いにならないこと。